2011/06/26



荒野の中に1本の道が真っすぐつづいている。
雲ひとつない青空のどこかに、
いつも飛行機雲はくっきりと見える。
車で移動している人間はガソリン・スタンドを探す。
よりよい仕事を求めて新しい土地へとつづく道。
そうやってアメリカの砂漠の道をただ走る。
日本から来たとは何となく言い出しにくい。
荒野の真ん中のあまり車も通らない道。
ぽつんと出現する酒場に立ち寄る。
こういう道を走っていれば喉ばかりでなく、
心も渇くだろう。
ガソリンがなくなりそうではらはらする。
次のガソリン・スタンドまでたどりつけるだろうか?
まだ街らしき景色は見えてこない。
ガソリン・スタンドに車を止めるとどこから来たのかと聞かれる。
「カルフォルニアから来たのさ」と答える。
「どうして動きまわっているんだ」
そういう道に沿って至る所にインディアンのリザベーションがある。
砂埃の道をプエブロの集落に入る。
泥で作られた家が砦のようにかたまっている。
スクール・バスも置いてある。
裸足の子供が遊んでいる。
ここでは時間が静止している。
中央の広場の祭壇には、
立ち入り禁止の看板が出ている。
信仰が今も生きている。
アイヌ観光部落とは違う。
彼らは暮らしているのだ。
彼らの土地はアメリカであってアメリカでない。
僕は美しい絵はがきを見つけた。
だが、何も書けない。
だから頭の中に書いた。
僕は今ここに居る。
ただそれだけでいい。
道はまだつづく。
また車で走り出した。
 御供










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