2011/05/30

あますところなく



自分自身であったためしがない。
それなのにみんながそうなろうと努力している。
ある者はもたもたと。
ある者はい一心に。
みんなができるつもりで努力してるんだ。
だれもかれも自分の出生を気にしてる。
原始の世界の捻液を。
卵のからを最後の土壇場まで引きずっていく。
ついぞ人間になりきれずに、
カエルのままだったり、
トカゲのままだったり、
ありのままだったりするものがかなりいる。
上半身が人間で下半身が魚になっている者もいる。
しかしどの人間でも、
人間になるように作り上げられたものに変わりはない。
私たちみんなにとって由来する源。
つまり母は共通である。
私たちはすべて同じ深淵から出ているのだ。
だがひとりひとりが、
深みから試みとして投げ出されている。
各自は自分だけの目標に向かって努力するのだ。
私たちはお互いに理解することはできるが、
自分自身を解明できるものはいない。
自分自身だけなのである。
あますところなくそうなのだ。
 御供


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