この街では人間はただの夜更かしのフクロウ。
本当の気持ちを隠しているカメレオン。
朝寝坊のニワトリ。
徹夜明けの赤目のウサギ。
誰とでも上手くやれるとうそぶく、うそぶいている。
ここでは自分がいるだけ、でも自分がわからない。
見てみろよ。
誰かに似ているだろう。
ほらごらん、不満ばかりを言っている相手が自分。
なにかになりたいっていったってここでは許してくれない。
とって余るほどの人間がいて、
リストラとかいうやつで人生から見放されるヤツがいる。
無惨にもここでは容赦なく繰り返されている。
ここでは私たちの生活に不安を投げかけている。
どうしろというのだ、
この無機質な街で生きる保証さえもなくあせる姿が見える。
ここでは日常茶飯事で起こるという事実。
恋することも許されず、
人間同士の触れ合いも曖昧だ。
ここでは人間らしさを奪い取る。
「ありがとう」の一言も言わずじまい。
失恋しても踏ん張ることのできる世の中はないのかな。
遠慮しすぎるために言い出せず、
蛇に睨まれたカエルのように生きる。
権力に頭をさげているばかり。
権力もないくせに悪だくみを考え相手を傷つける。
おまえだよ。
よく見てみろよ。
よく似合うよ。
吠えるばかりの人間が多いことか、ほら見てよ。
素直な人間が損ばかり。
自分にそっくりなやつばかりの中にいる違う自分。
みんなそっくり見分けもつかない。
ここではそれが当たり前。
ここでは個性さえも許さない。
ひっそりと片隅で生きている。
愛が欲しい。
こぼれんばかりの愛が欲しい。
ここではないどこかで愛をください。
おしゃべりな九官鳥に挨拶をしても返事はない。
気が向いた時に寂しいなんてつぶやいているだけの人間。
ここでは大都会と呼ばれていて、
巨大な大都会がしゃべりすぎている。
九官鳥の声も聞こえない。
アイツの気持ちもわかるすぎるぐらいわかるけど、
なんて利口ぶるのももうそろそろかわるべきさ。
みんな同じように悩んでいることから抜け出すんだ。
この大都会に住んでいるのだから。
御供 2000/9/12
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