2010/10/21

知りすぎて


世の中のことを知りすぎると、
世界はとても狭くなる。
つまらないもののように錯覚する。
いくつもの知らないことがありながら、
自分の街を知りすぎるとすべてをわかったような気分になる。
東京という都市で生活していて、
渋谷や青山くらいしかわかっていないに錯覚する。
それでも充分じゃないか、
という判断が頭をもたげる。
知りすぎているなんてありはしないのに。
街に出ることもしない。
なんのあてもなく歩くこともしない。
散歩や映画や美術館に行くこともしない。
はとバスに乗ったこともない。
知ったつもりでいる。
いくつものテレビや雑誌のインフォメーションで、
そう考え違いをしている。
まるで見出し人間のように、
それらを見たしだけで理解したような自分がいる。
小さな路地の風景や、
多くの人間の実体も知らないで知ったと思っている。
世の中の出来事にも無関心で、
政治にも経済にも興味を示さない自分がいる。
目の前のものも見ないようにしてる。
自分の好きなことだけを知ったつもりでいる。
そういう時代なんだからと一言ですましている。
いくつもの知らないことを知ろうとすることもきっと大切だ。
自分の中に知らなくてもいい好きなことを知りすぎて。
楽しいことを知りすぎて。
美しいことだけを知りすぎて。
そうして生きて行くという甘えがあるのかも。
知りすぎて困ってしまうことが多いからね。
自分の興味のあることについて知ればいい。
知ったほうがいい。
あるものはあり、
無くていいものは無くていい。
知りすぎてこまることなんて、
あってたまるか。
御供  2002/9/28

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