2010/09/09

無為な思い


やがてみな跡形もなく消え去るだろう。
またとなくこの東京の不幸も、
悪魔のように吹き付けるこの視線も。
コンクリートのように固められる。
このビルの谷間の都会の道も、
かくも多くの精神の苦労を刻んだ時間も。
かくも卑劣な機知を持って編み出されたものも、
すべて消えてなくなるだろう。
それでも山々は青空の中にそびえ立っているだろう。
あるものは変わることなく、
星々は輝き続けるだろう。
葉や草は銀色の朝霧をしたたえ。
消え去るものを後ろに見て、
青々とした昼を迎えるだろう。
大海原の永遠の風に吹かれながら。
人間は忘れ去られている。
無邪気な逃避も忘れ去られている。
かくも心楽しくも夢中にさせたもの。
飽くこともなく、
私たちの多くを考えだし書物も絵も言葉も、
童話も夢も思想もひとつ残らず忘れ去らしてしまうのか。
いや周りには星々の輪舞が調べやかに。
きえあきらと寂しく小さな天球が闇の中に漂っている。
もの思いに沈み、
たがひとりの人間となるだろう。
小さな息子の笑い。
子供じみた戯れ、
些細な振る舞い。
喜びを得ようとする。
私は喜び、
そして創造する。
御供 2010/8/7

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