やがてみな跡形もなく消え去るだろう。
またとなくこの東京の不幸も、
悪魔のように吹き付けるこの視線も。
コンクリートのように固められる。
このビルの谷間の都会の道も、
かくも多くの精神の苦労を刻んだ時間も。
かくも卑劣な機知を持って編み出されたものも、
すべて消えてなくなるだろう。
それでも山々は青空の中にそびえ立っているだろう。
あるものは変わることなく、
星々は輝き続けるだろう。
葉や草は銀色の朝霧をしたたえ。
消え去るものを後ろに見て、
青々とした昼を迎えるだろう。
大海原の永遠の風に吹かれながら。
人間は忘れ去られている。
無邪気な逃避も忘れ去られている。
かくも心楽しくも夢中にさせたもの。
飽くこともなく、
私たちの多くを考えだし書物も絵も言葉も、
童話も夢も思想もひとつ残らず忘れ去らしてしまうのか。
いや周りには星々の輪舞が調べやかに。
きえあきらと寂しく小さな天球が闇の中に漂っている。
もの思いに沈み、
たがひとりの人間となるだろう。
小さな息子の笑い。
子供じみた戯れ、
些細な振る舞い。
喜びを得ようとする。
私は喜び、
そして創造する。
御供 2010/8/7
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