2010/09/30

死という死を残りなく


死という死を残りなく味わうこと。
死という死をなおも残りなく味わうことを私は望む。
森の中に木の迎える死を。
山にあって石の迎える死を。
砂にまみれて迎える死を。
きしみをたてる夏草の葉むらの死を。
そして血にまみれたあわれな人間の死を。
花となって再び生まれ変わることを私は望む。
木となり葉となって再び生まれ変わることを。
ウサギとなり、
鳥となり、
蝶なることを。
そしていかなる姿になろうとも。
あこがれは私をひきさらい、
引き上げてゆくだろう。
苦悩の階段を上り詰め。
そのつきるところ、
人間の苦悩へと。
ああ、あこがれの狂おしいこぶしが、
死を感じることなどあるんだろうか。
生が悲痛の道を、
生なる光の道を。
御供 2010/7/24

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