2010/09/15

放浪者たちのカフェ


旅をしないとたどりつけないカフェがある。
地図も電話もなく。
人づてに聞いて行かないとたどりつけないカフェがある。
満月の光に誘われた夢という旅のゆくえかもしれない。
誰かにささやかれているから、あるとわかるだけ。
裸足の心がなかったらたどりつけない。
旅人は数々のストーリーを持ち、
名前を忘れ、
過去を忘れ。
そして、たどりつく。
そこではじめて、神妙に満ちた言葉を発し、
旅人は詩人なる。
次の世代の誰かにこの旅のゆくえを語るために。
このカフェではあらゆるアルカロイドが持ち込み可能。
ないものねだりの心多き旅人たちは、
そこで物々交換をする。
自分の未来と過去を取引する。
不安定だけれども、
黄金の夢をポケットに入れてまたカフェを後にする。
放浪者たちのカフェはあらゆる未来にあふれていて、
人間の限界のぎりぎりの果てにある。
ある者はたどりつくこともなく。
ある者はたどりついたにせよ、
出口を見つけられない。
そんなカフェには驚くほどいろいろな覚醒があり、
現実と非現実のはざまをさまよう。
旅人の時間そのものだ。
だからこそ、通り越したなら現実の社会で実力を発揮し。
心の中すべてを吐き出して成功という富と名声を手に入れる。
放浪者たちのカフェを探しあてようと、
今日も若者が旅立つ。
決して地図を持たず。
果てのない旅の果て。
心は遠のいて夢の中に立っている。
ある者は一直線に進むことをする。
ある者は反対の道を行き,
いつまでも帰らぬ人となる。
人生はそんな旅の途上。
放浪者たちのカフェで一休みして,
エネルギーを蓄えて人生をまた歩く。
そして、完結という終着点で笑う。
人生はハッピー・エンドでなくちゃ。
私はカフェで誰かと出会い、
共に歩き出すことだろう。
御供 2000/12/8

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