2010/08/31

J・ケルアックに捧げる


<コーラス239>
チャーリー・パーカーは神だ。
チャーリー・パーカーはこの間死んだ。
何週間もの過労と病気の末に、
テレビで手品を観ながら笑って死んだ。
彼はパーフェクトミュージシャン。
その顔に浮かぶものは、
静かで、美しく、
深遠な東の人たちが描くブッタの顔。
閉じた瞳。
その表情は『すべてよし』と語ってる。
『すべてよし』
チャーリー・パーカーは演奏を通して、
音楽が伝えた言葉を告げた。
『すべてよし』
朝早い時刻の感覚でなければワイルドなジャムセッションのパーフェクトクライ。
チャーリーが吹き出すその息、
スピード狂の望むスピードに達する。
そして彼らはチャーリーよ、永遠の減速を望む。
偉大なミュージシャンで、
偉大な様式の創造者。
それが遂に時代の声となった。
<コーラス240>
ベートーベンに匹敵する音楽家なのに、
誰もそんな風にはみない。
世界の歴史に残る、ストリングス・オーケストラ。
それらを前にして柔和な指揮者。
もの静かで誇り高く、
音楽を率いている者。
サックスを切り裂くように透き通ったアルトの嘆き。
完璧なチューン。
輝くハーモニー。
こみ上げる感情を抑えきれず、
やがてすっかり呑み込んでしまう。
そのもの全体が揺れ動き、
みんながいい気持ち。
チャリー・パーカーは、
サックスを指揮棒変わりに吹く。
永遠の湖まで誘い出す。
じょうじょうと虚殺の水に注がれる白い肉、死ぬ。
ひとりまたひとりと順番に。

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