2010/08/26

毎晩


毎晩、自分の生きた一日を顧みて吟味するがいい。
その一日が自分で気にいるかどうか。
好意と誠実のうちに楽しく生きたかどうか。
それとも不実と後悔の名に意気消沈したか。
毎晩、自分が愛する人々の名を繰り返すがいい。
悩みと不正を後悔するがいい。
すべての悪を心の中に恥じたらいい。
悪を自分のベットに持ち込まぬがいい。
そうすれば清らかな魂がよみがえってくるに違いない。
それらの悪は無邪気に眠るようにしなければいけない。
そうすれば自分の生の心の中に、
一番恋しいものの思い出に安心していられる。
母のこと、幼い日のこと。
そうすれば純粋に解放され涼しい眠りの泉を深々と飲むことができる。
その眠りの泉では金色の夢が慰めがちに合図する。
明日の朝、さわやかな官能をかまえて、
勇士のように勝利者になる。
新たな夜がはじまる。
生きることでまた毎晩がある。
ヘッセ
御供 1998/8/7

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