2010/08/27

アレン・ギンズバーグの詩


ある者らは、
ビールビン、恋人、シガレットの包み、ローソクなどと、
エクスタチィックにまた食欲に交わった。
そしてベットから転げ落ちて床や廊下をすぎ壁のところで気が遠くなりながら、
究極の幻想である女のアレの射精の意識から逃れながらも射精した。
ある者らは、
日没どき、うずいているたくさんの小女たちを誘惑して楽しんだ。
そして朝となると充血した赤い目をして家畜小屋で尻をのぞかせ、
湖で体を洗って日の出の楽しみを用意していた。
ある者らは、
かっぱらった自動車に乗ってコロラド通りを抜けて女を買いに行った。
N・Cすなわち、
これらの詩のかくれたヒーロー。
色事師でデンヴァーの美少年よ!
彼の数えきれないほどの少女たちと寝た思い出のよろこびよ。
空き地で食堂の恵庭で、
映画館の危かしい椅子で、
山頂の洞穴の中であるいは馴れた道でさみしくペチィコートを持ち上げて立っていたウェイトレスよ。
特に秘密のガソリン・スタンドである便所での時代論よ。
また故郷の裏とおりよ。
ある者らは、
非常にくだらない映画界に消えない夢にうなされて突然マンハッタンで目を覚ました。
そしてトケイ酒を飲んで酔っぱらいサード・アベニューの鉄の夢に怖れおののきながら、
地下鉄の外にはい出して、
失業対策事務所に出くわした。
ある者らは、
暖房のぬくみと阿片のたちこめているイースト・リバー沿いのドアが開かれるのを待ちながら、
血まみれの靴を履いて雪の積もっている波止場を一晩中歩いていた。
ある者らは、
戦時中,月の青いフラット・ライトに照らされているハドソン河沿いの崖の上。
ある者らは、
イマジネーションのラム・シチュウを食った。
あるいはバワリー河の汚れた河底のカニを消化した。
ある者らは、
玉ねぎを積んだ手押し車がやくざな音を立ててゆく街のロマンスに涙を流した。
ある者らは、
橋の下の暗闇に息づいている仮小屋の中に座っていた。
そして屋根裏部屋でハープシコードを作るために起き上がった。
ある者らは、
神学のオレンジ色の箱で囲まれた肺結核の空の下の炎の王冠をかぶったハーレムの6階で咳をしていた。
ある者らは、
黄色い朝のわけのわからぬ戯言を全く高尚な呪文のように身をゆすったり、
転がったりしながら。
アレン・ギンズバーグ
御供 2004/3/13

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