降るように喋る女たち。
嗅ぐように話す男たち。
待つ間、私は耳になる。
人はみな喉に鍵をかけている。
声帯のドアが擦れ合うたび、
聞き覚えのある声が記憶の木漏れ日となる。
壁につくる模様はなんとなく懐かしい。
あの魂は震えながら声をつくり、
美しく響く。
だが、時期は包まれた沈黙の中で言葉を失っていた。
そして今、言葉の時代。
存分に話すがいい。
不老不死の言葉は、
一時の会話を楽しんでいるに過ぎないのだから。
風が吹くたび、
光が舞うたび、
匂いがするたび。
別れがあって、出会いがある。
また、どこかへ行ってしまう。
老いない声はない。
変声を誰もが持つ。
低くなった声を隠し、
密かに話す声を聞く。
言葉は声として時空を舞い、
いろいろな感情を運んでくる。
そして文字にして書き留められる。
詩的な言葉となる。
それが、詩なんだ。
御供 2000/12/9
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