2010/07/28

詩的な言葉


降るように喋る女たち。
嗅ぐように話す男たち。
待つ間、私は耳になる。
人はみな喉に鍵をかけている。
声帯のドアが擦れ合うたび、
聞き覚えのある声が記憶の木漏れ日となる。
壁につくる模様はなんとなく懐かしい。
あの魂は震えながら声をつくり、
美しく響く。
だが、時期は包まれた沈黙の中で言葉を失っていた。
そして今、言葉の時代。
存分に話すがいい。
不老不死の言葉は、
一時の会話を楽しんでいるに過ぎないのだから。
風が吹くたび、
光が舞うたび、
匂いがするたび。
別れがあって、出会いがある。
また、どこかへ行ってしまう。
老いない声はない。
変声を誰もが持つ。
低くなった声を隠し、
密かに話す声を聞く。
言葉は声として時空を舞い、
いろいろな感情を運んでくる。
そして文字にして書き留められる。
詩的な言葉となる。
それが、詩なんだ。
  御供 2000/12/9

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