2010/07/23

深夜の路上で


夜通し明るい都会の路上では車が行き交う。
この遅い時間で目覚めているのは、
貧困と悪徳だけだ。
私は挨拶する。
目覚めている都会人よ。
苦しみ虐げられている都会人よ。
騒々しく笑い声をたてる都会人よ。
都会人よ、みな私の兄弟なのだ。
私はしばしば荒くれ者。
口をきわめて都会をののしる。
夜な夜な酒盛りをして騒ぎ、
鋭い機知をいくつもものにした。
都会人たちは深夜の路上を歩きつづけた。
何かに向かって歩いている。
それが解らぬまま、
暗い闇が重なる影が都会人たちの夢を冷やした。
けれども都会人たちの胸には、
燃える憧れに捕らえられる。
光の先へと悩み焦がれていた。
都会人たちには見えない。
頭上には見えぬが、
空が澄み渡り、銀の星が清らかに輝いている。
夢、遠く離れて黙り、
私の心は苦しく波立っている。
深夜の路上で見る夢は夜ごと同じ夢。
私の心は苦しくすすり泣いている。
時は過ぎ行く、今は真夜中。
遠くの、また近くの都会人たちよ。
悩みへのなぐさめを、
星々の世界に夢見る人々よ。
言葉もなく耐え忍びながら、
深夜の路上で車が止まった。
中からは人が出て来ない。
止まったまま動かない。
何をしているのか?
車は車ではなく、
ただのハコとしてそこにある。
こんな不思議な深夜の路上で、
私は夢を見る。
明日の太陽はやさしく、
都会のすみずみまで照らし出すだろう。
人々の心にあたたかさを与えてくれるのか。
そう信じて家路につこう。
   御供

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