2010/05/25

別の世界


私の胸は孤独に包まれて、
人間としての病みが燃え上がる。
世界がこれほどに暗鬱に見える。
いつの日か人間は生きることを放棄してしまう。
別の世界へ行くことも考えたりしたけど、
異国の地も風に揺られて涼しい顔をしている。
私は黙り足取りは重い。
私は永遠なるものに思いをはせる。
まなざしは揺るぎなく。
行為することも犠牲になることにも心を開いている。
しかし、敬愛な心を亡くしてしまった時代。
名誉も信頼も失われている。
望みなき戦いをつづけ嘲笑する。
私の心を満たすのは私の心の声だ。
決して錆びつくことのない私の財宝を守りぬく。
私の心に聖なる声が響いている限り大丈夫。
巷のあざけりは私は聞かない。
社会がその聖なる声を疑って押し殺す。
この非常な時代にあって、
私の世界と別の世界をとりかえることができるのか。
大きく広がる平和に耳を傾けよう。
鳥たちは世界を飛び回り、
別の世界に自分の巣をつくる。
山の向こうにも、
川の向こうにも、
海の向こうにも、
鳥は沈黙して消え失せるまで飛びつづける。
別の世界をみる。
でも、私たち人間には別の世界は存在しない。
私たちには地球上で世界はひとつである。
いつでも、永遠にその中で生きる。
   H.MITOMO

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