自分を見つめている。
ビデオカメラで隠し撮りするように。
あるいは通りすがりの人を眺めるように。
生々しい記憶を追いかけているように確かに私は見つめている。
外から見た世界。
仕事机に向かう私自身を見つめた。
あれはまぎれもなく私であった。
その時世界はひとりだけの部屋。
ノートに向かい遠慮しながらペンを走らせている。
ペンを握った指は文字を追い、
自分の言葉で詩と一体になった。
はじめて見るのにいつかどこかで見た景色。
人はもっと外から見た世界で自分を見ている。
ただし同じで変わるものじゃない。
ひとりの安全の孤独。
関係性のない距離を楽しむ愛の一種にすぎない。
私であるところのキミはいつものように机に向かい、
黙々と原稿用紙の升目を埋めている。
一日ずっと無表情で無感動な無人間。
時々にやりと笑いながら人生という物語の主人公を演じている。
物語の進み具合ばかりを気にして背後を見失っている。
こちら側から、キミである私が見ているとも知らずに。
世界を強打しながら生きる。
肌で確かめながらしか愛せないのに当然のごとくセックスする。
だから今夜も私は私を抜け出して、
こっそり自分を覗きに行くのだ。
真夜中の机に灯がともり影ができている。
私はいったい誰?
何をしているのだろう。
私は疑問を持ちながら私を生きる。
私はそんな私を意識しながらペンを持つ。
背伸びなどしてみて、私を安心させる。
しかし、外からの世界があることすら気にしない。
私の時間はそんな時間が多い。
はじめての思考が外から見ている。
御供 2000/12/10 11/11/8 14/4/14
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