季節の変わる頃になると、
また次の季節の引っ越しの準備をする。
似たような気候なのに気持ちがぜんぜん違う。
おそろしいほどのスピードで東京の時間は進んでいる。
全部を見ることなんてできやしない。
あそこも東京、ここも東京。
海の向こうからも東京が揺れている。
夕陽がビルの谷間に沈む街。
一日中休まないおそろしいほどの大都会。
たくさんの人がいてたくさんのモノが溢れてる。
そんなたくさんの中のひとり。
巨大な東京にいつから反抗できなくなったのかおぼえていない。
東京にいるとどんどん自分が小さくなっていく。
そう錯覚する。
言いたいこともいつの間にか言葉にできなくなっている。
東京が悪いんじゃない。
でも、単純に言えない時代。
社会のせいにもできやしない。
反抗しているだけじゃはじまらない。
いつまで悩んでも、
人の顔色をうかがっていても仕方ない。
何について腹がたつのかわからない。
世界中でこんなに乱雑に混沌としている街も珍しい。
まわりに合わせて生きていくのか。
それは自分に対して反抗することなのか。
私が私であるためには今を生きることが大切だ。
自分がどこにいるのか。
見失うこと無く東京で生きる。
嫌だとはっきり言えないでいる。
断りきれないで責任ばかりが先にたつ。
わずらしさに消えていく時間。
社会のせいだなんて言いたくはないけれど、
トラブルが多過ぎる。
私が私であるために嫌だなんて言えない。
地球が丸いことがせめてもの救い。
世界が狭くなっていくのがせめてもの助けで角張っていたら、
息がつまってしまうだろう。
誰かの思惑に操られる。
「自分らしさ」を忘れてしまったら楽なのなのかな。
打ちのめされて苦しんで、
起き上がることにも慣らされている。
どんなに退屈でも、
どんなに嘘っぽくても、
どんなに操られているとわかっていてもふりをする。
人目を気にして嫌と言えない。
どちらを取るかいつも悩んでいる。
言いたいことさえ言えない。
自分なんてあるようでないのかもしれない。
糸引く人間たちには引かれたくない。
どんなに寒い時代でも東京はびくともしないほど巨大。
でもゴチャゴチャしていて、
その中に何を見つけたらいいのかわからずに膨張している。
東京にいたら必要なものがあり過ぎる。
贅沢というなまけ心がはえてくる。
暮らしているだけで夢見る余裕さえも消えていく。
地下鉄やガソリンがなけりゃ生きていけない。
どうにか転がれるけれど、
いたわりや遠慮がなくても転がれる。
私は心配していない。
それでも流れにそって生きられるほど器用じゃない。
良い子のままじゃ住みきれない。
どんなに溶けても上手くやれるさ。
やさしいこの街に住む。
私のことなら大丈夫。
この街は囲いのない見せ物小屋。
自由に縛られていることもわからずに、
見張り台から監視されてる。
早く誰か気づいてくれ。
頭をぶちのめされる前に気づいてくれ。
平和はオブラートみたいに薄く覆っているだけ。
この街をパラダイスと言う人もいるけれど、
パラダイスがあるんだったら教えてよ。
いつものように爽やかな朝が来る。
でも、早く気づかないと。
御供 2000/9/29 11/11/13 14/7/4
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