風が強く激しく吹く。
誰もいない都会を洗いさるかのように空気が流れる。
スモッグがないのでいつもより星や月がはっきりと見える。
休日の今日は、
とても冷たくて透き通った空気が肌をつく。
いつもと違う東京の街。
サボテンのような乾いた街が現れる。
大都会に人間がいなくなり、
静まりかえって物音も聞こえない夜。
心は無言の乾いた街を徘徊する。
あてもなく進む。
街並に人々は姿を出さず、
瞬間的な魅力を投げかけるが見えない。
すべての人間が他の人間を閉め出せないで泣いている。
とどまった者たちも、
超自然な暗闇のプラット・ホームに立ってはいない。
絵のように空っぽで乾いた街は、
いろいろなことを気づかせてくれる。
耳の片隅には雑音が残り、
すべてのビルは閉まって明かりはついていない。
歓楽街だけはあいも変わらずギラギラのネオン。
気のすすまぬ天使のように大都会で遊ぶ。
魂に揺さぶられてほっつき回る。
未知な言葉を探して夢中遊行的にあたりに話かける。
わいせつな紫の煙りに、
黒い魔術にかかったようにトリップする。
時間は止まってはくれない。
いつまでもこの状態がつづくわけじゃない。
少しの希望の光を胸の奥にしまいこみ、
乾いた街の優雅な空気を呼吸する。
素晴らしい生を感じる。
人間もいないかわりに争いもない。
いつもと違う休日のこの大都会を楽しむ。
心なしか乾いた街にやさしいぬくもりが欲しくなる。
いつまでもつづくわけじゃない。
車のいない道路。
スモッグのないきれいな空気。
まるで別のところに立っている錯覚におちいる。
あと2、3日はこのままでじっくりと楽しもう。
自分の時間の創造に意欲を燃やしたい。
この乾いた街の時間を楽しみたい。
御供 2001/1/1 14/7/4
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