2010/04/20

出会いは



出会いはその時はじまった。
ふたつの突き刺すような眼は、
ふたつの突き刺すような眼を覗き込んだのだった。
聖なるペテン師は輝く心で見た。
憂いに満ちた詩的ペテン師は暗い心で見た。
二人は真っ正面から出会った。
これから先のあらゆる狂気じみた渦巻きのすべてが、
その時はじまったのだ。
瞳の探り合いからはじまったスーパー・チャージされた会話。
ふと気がつくとふたりはどこかへ行ってしまった。
「大都会にこき使われているのさ」と、うそぶいた。
入り交じる恐れと欲望。
震えている若者は何処から来たのか、
出会いを求めてこの大都会にやって来た。
荒々しい愛から逃れて来た若者は、
真実の愛を求めてやって来た。
さまよいの果ての地としてこの大都会にきたのだ。
どんなに傷つけられたにせよ、
愛は無くなったわけじゃない。
若者はただパンと恋を求めて徘徊していたのだ。
予告なしに突然オゾン・パークにあらわれた。
ワイルド・ボーイはタイプライターの前に座って、
詩を書きはじめた。
ふたりの出会いは旅に誘った。
詩を書くことを強く望んだ。
彼はタイプライターの前に身を置くことのできる、
隠れ家を必要としていたのだ。
そして、言った。
刺激を探しに行かないか。
ルート66を旅しながら、、、、、、。
旅の夢は頭の中で果てしなく広がっていた。
だが、地図の美しさは現実とは違っていた。
映画ではなく、
現実の目で見る裸の風景は感動的に圧倒でしかなかった。
この風景の中でリアルな生活を営む人にもあった。
上着のポケットにひそませたノートに、
風景や人々との出会いを書いた。
立ち聞きした会話の切れ端を自分の感動として書いた。
ここで体験しているすべてのことが、
自分のノートに貴重に書き留められた。
書くための大切な材料になることを予測しながら。
いつのまにかラブ・ポエムを書いていた。
ハートを揺さぶる言葉を使ってありのままで書かれた詩だ。
初めて会ったその日から、
関係は終わりとはほど遠いものになった。
何故なら書き立ての詩は、
もう心の奥底にしっかりと刻まれていたからだ。
もちろん、後のあの詩とはくらべるべきものではない。
魂のバトル・トークは出会いによってはじまった。
しかし一時、眠たげな軌道をぐるぐるまわるだけの惑星になる。
原始のすべてが燃えるようなまばゆい人石になりたいと望む。
人間として生まれてきたのなら、
大切なのは生きることだ。
ただ存在することじゃない。
また旅をつづける。
洗い立ての洗濯物のように白い無邪気さで、
旅の途上のその土地が違って見える。
やがて若きボヘミアン詩人たちを通して、
旅の聖者たちの巡礼の地となるだろう。
もちろん誰も知るべきもないことだが。
埃だらけの道で挨拶をかわし、
旅の運を祈りながら再び出会いを求めて進み出す。
再び大都会に戻る。
ラッシュ・アワーの真っただ中で洗われた私。
無垢な瞳に写るのは、
何万という人間がわずかなお金を求めて押し合いっている事実。
押し合いへし合い、
与え、もらい、つかみ合いながら、
死んでいく。
狂った夢に追われる都会の風景。
徹底した狂気と歓喜のおたけび。
紙のように薄っぺらな大都会があるだけだった。
ここに自分の魂をおくとしたら、
やはりそれは心の中に違いない。
大都会にやさしさや思いやりを探してみたが、
なかなか見つからない。
何処へいったら理想としている愛はあるのか。
悩み苦しみ自分探しの旅は果てしなくつづく。
そんな時、救いなのは旅に出ること。
車を砂漠に向かって走らせ、
心の中を無にすること。
それこそが若者にとって大切なことだった。
旅はどこまで。
旅はどこまでも。
  御供 2000/12/1  14/4/14

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