出会いはその時はじまった。
ふたつの突き刺すような眼は、
ふたつの突き刺すような眼を覗き込んだのだった。
聖なるペテン師は輝く心で見た。
憂いに満ちた詩的ペテン師は暗い心で見た。
二人は真っ正面から出会った。
これから先のあらゆる狂気じみた渦巻きのすべてが、
その時はじまったのだ。
瞳の探り合いからはじまったスーパー・チャージされた会話。
ふと気がつくとふたりはどこかへ行ってしまった。
「大都会にこき使われているのさ」と、うそぶいた。
入り交じる恐れと欲望。
震えている若者は何処から来たのか、
出会いを求めてこの大都会にやって来た。
荒々しい愛から逃れて来た若者は、
真実の愛を求めてやって来た。
さまよいの果ての地としてこの大都会にきたのだ。
どんなに傷つけられたにせよ、
愛は無くなったわけじゃない。
若者はただパンと恋を求めて徘徊していたのだ。
予告なしに突然オゾン・パークにあらわれた。
ワイルド・ボーイはタイプライターの前に座って、
詩を書きはじめた。
ふたりの出会いは旅に誘った。
詩を書くことを強く望んだ。
彼はタイプライターの前に身を置くことのできる、
隠れ家を必要としていたのだ。
そして、言った。
刺激を探しに行かないか。
ルート66を旅しながら、、、、、、。
旅の夢は頭の中で果てしなく広がっていた。
だが、地図の美しさは現実とは違っていた。
映画ではなく、
現実の目で見る裸の風景は感動的に圧倒でしかなかった。
この風景の中でリアルな生活を営む人にもあった。
上着のポケットにひそませたノートに、
風景や人々との出会いを書いた。
立ち聞きした会話の切れ端を自分の感動として書いた。
ここで体験しているすべてのことが、
自分のノートに貴重に書き留められた。
書くための大切な材料になることを予測しながら。
いつのまにかラブ・ポエムを書いていた。
ハートを揺さぶる言葉を使ってありのままで書かれた詩だ。
初めて会ったその日から、
関係は終わりとはほど遠いものになった。
何故なら書き立ての詩は、
もう心の奥底にしっかりと刻まれていたからだ。
もちろん、後のあの詩とはくらべるべきものではない。
魂のバトル・トークは出会いによってはじまった。
しかし一時、眠たげな軌道をぐるぐるまわるだけの惑星になる。
原始のすべてが燃えるようなまばゆい人石になりたいと望む。
人間として生まれてきたのなら、
大切なのは生きることだ。
ただ存在することじゃない。
また旅をつづける。
洗い立ての洗濯物のように白い無邪気さで、
旅の途上のその土地が違って見える。
やがて若きボヘミアン詩人たちを通して、
旅の聖者たちの巡礼の地となるだろう。
もちろん誰も知るべきもないことだが。
埃だらけの道で挨拶をかわし、
旅の運を祈りながら再び出会いを求めて進み出す。
再び大都会に戻る。
ラッシュ・アワーの真っただ中で洗われた私。
無垢な瞳に写るのは、
何万という人間がわずかなお金を求めて押し合いっている事実。
押し合いへし合い、
与え、もらい、つかみ合いながら、
死んでいく。
狂った夢に追われる都会の風景。
徹底した狂気と歓喜のおたけび。
紙のように薄っぺらな大都会があるだけだった。
ここに自分の魂をおくとしたら、
やはりそれは心の中に違いない。
大都会にやさしさや思いやりを探してみたが、
なかなか見つからない。
何処へいったら理想としている愛はあるのか。
悩み苦しみ自分探しの旅は果てしなくつづく。
そんな時、救いなのは旅に出ること。
車を砂漠に向かって走らせ、
心の中を無にすること。
それこそが若者にとって大切なことだった。
旅はどこまで。
旅はどこまでも。
御供 2000/12/1 14/4/14
0 件のコメント:
コメントを投稿