2010/04/19

絶望



人間の生活を理解し、
それを正当化しようとするあらゆる試みの結果生まれる絶望。
人生を徳を持って、
正義を持って、
理性を持って耐えぬく。
その様々な要求を満たそうとする真剣な試みの結果生じる絶望。
この絶望を知らずして生きているのは、
まだ子供のような心を持った人である。
この絶望を知って生きている人が目覚めた人。
絶望にぶつかると、
それは神の恵みとなる。
皮を一枚脱ぎ捨てるごとに、
生活が新たなる変化を遂げるという体験。
文化や精神とそれらの要求を重要なものと考えて、
その様々な要求にかかわって生きる。
間違いなく絶望に行きつく。
その救済は、
主観的な体験をあまりにも客観的にしすぎたからやって来るのだ。
夢に現れた『具現的』内容か魂の内実を導きだす。
病気と健康。
苦しみと喜び。
私たちに病気や苦しみのない日はない。
しかし、私たちの待ち受けているものに好奇心を抱き、
運命への愛を見つける。
再び明るいところに出る。
苦しみのまっただ中を、
絶望のまっただ中を通り抜けて行くしか無い。
峡谷の入口は、
暗い岩の間でためらって立ち尽くす。
太陽は心地良い光を輝き出し、
緑の世界に輝きをもたらす。
草原一杯に草の花が風に吹かれている。
絶望が去り次の世界が開かれる。
すべての進歩はこの絶望なくしてありえない。
そして、人間は考える。
絶望とはなんだったのかと。
  御供 2002/5/5 14/4/14

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